2010年2月12日金曜日

【経営事例】5話~なぜ強力なコンピタンスから競争優位は生まれるのか?

読者のみなさん、こんにちは!楯です。
前回は、【コンピタンスの価値連鎖】と【顧客のCEとCS】の重要性と、その関係について
お話しました。
 今回は競合他社と、 「どんな戦略でどのように戦うのか?」についてお話したいと思います。

■戦略の種類とその特徴とは?

▼競合他社打ち勝つために3つの基本戦略がある。

1.コスト・リ-ダ-シップ戦略
2.差別化戦略
3.集中戦略
 
1.コスト・リ-ダ-シップ戦略とは


「強力なコンピタンス」を活用し、競合他社の製品と差別化されていない製品を低コストで
つくりだす独自の方法をうみだす「戦い方」をいう。
 従って「競合他社よりも低コストの製品を実現」すること。
それらは、製品の品質やサ-ビスを軽視するものでなく、かつ販売価格を安易に下げるものでもない。

低コストを実現するには、企業は効率のよい規模の生産設備投資を積極的に建設し、逆に余分なコトス
や間接諸経費のコスト削減を徹底的に追求しなければならない。
ゆえに、商品開発やサ-ビス、営業マン、宣伝広告のような面のコストを最小限に切り詰める
「経営手法」ともいえる。
低コストの地位を占めると、当該業界内に大きな競争要因があらわれても、平均以上の収益性を獲得
できるからである。

この戦略を実現するには
  ☛当該業界で、大きなシェアをもつことが前提条件となる。
  ☛巨額の設備投資資金が確保されていることも前提条件となる。

この戦略のメリットとは
  ☛買い手(顧客)の厳しい値引要求があっても、一定の収益性を確保しているので対応ができること。
  ☛供給者サイドは、一番大量に買ってくれる企業を最優先に低コストで供給してくれること。
  ☛当該業界内でその企業シェアが大きければ、新規参入企業にとってはそれを上回る低コストの
   実現は不可能に近いこと。

例1 SONY、PANASONICなど
 超大手家電メ-カ-である。
 日本国内の生産拠点の他に海外にも多くの生産拠点をもつ。
 ただ、販売面においては大手量販店へ大量に供給している。
 極論的にいえば、営業組織の拡大化を避けることでコストを削減し、量販店へシフトしている。

2.差別化戦略とは

 「強力なコンピタンス」を活用し、差別化された製品をつくりだす独自の手法をうみだす「戦い方」。
 をいう。
 差別化された製品とは、競合他社がそれに匹敵する特徴ある製品がほかになく、顧客が高いお金を
 支払っても顧客価値を満たすもの。
 差別化製品をつくる上で、コスト削減は必要であるがそれが第一の目標ではない。
 
 差別化に成功すると、当該業界の中で平均以上の収益性を獲得できる。
 
この戦略を実現するには
     顧客のニ-ズにより敏感な情報等を入手するしくみが必要となる。
     競合他社より高品質・高機能・高付加価値な製品をうみだす能力が必要となる。
     当該業界が寡占市場をつくっていない市場を狙うこと。

この戦略のメリットとは
     あまり販売価格に敏感になる必要がないこと。
     顧客から大きな支持を獲得すれば、代替製品が現れても競合他社より有利な立場(地位)に
     いられること。

 例2 紳士服や婦人服のオ-ダ-メイド
  ここ近年は、服装においても個性の多様化の時代。かつ飽食の時代でもある。
  紳士服においては、メタボ対策の特注の服がつくれる企業。
  婦人服においては、その服装を着用すれば、視覚効果で「体型が細くみえる服」がつくれる企業。
  
  ☛「体型が細くみえる服」がつくれても従来の多品種少量生産の企業が
    もし、多品種中量生産を可能にしたら、その強力なコンピタンスとビジネスモデルは
    強くなり収益性を高めることになる。
 
PS:当社HPの「事例-1」を見て頂ければ、その違いと効果がより明確に分かります!
 従って、差別化のポイントは、顧客価値をうみだすものが何かについて深く理解しなければならない。
 企業の「強力なコンピタンス」の根底とは、競合他社よりも上手に「顧客の心理」を読む力である。
 差別化された独自性のある製品とは、顧客と企業のト-タルな関係が最適化されてはじめて威力を
発揮するものである。
 
3.集中戦略とは
 特定の地域及び特定の製品、特定の顧客層において、企業の経営資源を集中化させる「戦い方」をいう。
 【コスト・リ-ダ-シップ戦略】あるいは【差別化戦略】を組み合わせた戦略!



X社コスト・リ-ダ-シップ的集中戦略した場合のシナリオ(仮説)
 当該市場に対して、ある企業はA製品B製品C製品があると考えてみます。
 A製品B製品C製品は、コスト・リ-ダ-シップ戦略にしたがい、徹底的にコスト削減した製品
 とする。(A製品B製品C製品は、同じ販売価格とする)
 
 A製品は、当該市場で競争が激化している。
 営業マンも宣伝広告も実施中。
 B製品C製品は、WEBサイトのみで販売する。
 
 X社の戦略とは何か?
 まず当該市場において、X社のA製品の知名度を上げる目的!
 「A製品は実は、金魚のエサではないか?」と想像する!
 かりに利益は、多少のマイナスは仕方ないと決めている。
 
 しかし、X社の本当の狙いは、
 営業マンや宣伝広告といったおおきな経費が必要ないWEBサイトでの販売と予測できる!
 A製品B製品C製品は同じ販売価格でした。
 B製品C製品はWEB販売のみ。
 
 もし顧客が、A製品の高品質・機能性を評価して購入が多ければ、
 自然とWEBサイトにあるB製品C製品も購入する。
 B製品C製品の販売に関する経費は低いから、利益率は平均を上回り、
 X社が事前に予測した利益率の確保が達成される。

 Y社の差別化的集中戦略した場合のシナリオ(仮説)
当該市場に対して、ある企業はA製品B製品C製品があると考えてみます。

A製品B製品C製品は、差別化戦略にしたがい、その店舗でしか購入できない製品とする。
(A製品B製品C製品は、同じ販売価格とする)
 
 しかし、店舗を初期段階から増やすのはリスクがあるので、まずA製品の販売を開始したとする。
 
 その後、B製品C製品をあえて販売することにした。
 店舗は、東京・名古屋・大阪の3つの拠点しかないとする。

Y社の戦略とは何か?
 A製品を発売後、顧客はその価値に満足したとする。
 Y社のイメ-ジは、「Y社=A製品」と顧客は認識し、口コミが増える。
 しかしY社の店舗は、東京・名古屋・大阪の3拠点しかないから、
 岡山県の顧客は、わざわざY社の大阪店へ行き、CSが満たされたとする。
 次にB製品C製品の発売も開始した。
 A製品とB製品C製品は関連性が高いと、顧客へ情報が伝わる。
 また岡山の顧客は、再来店を繰り返す。つまり集客率が高くなり、リピ-ト顧客が増える!
 なぜ3つの店舗しかないのに、顧客は遠方から来店してくれるのか?
 
理由1 その差別化された製品に、顧客の価値と一致しCSが上がったから。

理由2 その3つの店舗でしか買えない製品だから。
 (仮に、店舗が50店もあっとしたら、顧客はいつでも買えるという心理が働くのが普通)

※X社は、A製品だけに顧客の視点を集中させた結果!【製品戦略の差別化】

※Y社は、3つの店舗だけに顧客の視点を集中させた結果!【店舗戦略の差別化】


■どのように競争環境分析をするのか?
主に下記の問いに答えれるようにしておくと、「戦い方」の分析の目的が理解しやすい。
                    

                     競争環境分析


■強力なコンピタンスからしか競争優位は生まれないワケ!

・中小企業の中には、10年、いや30年も続く会社がたくさんある。
 それは、その会社の中に「いくつかの強力なコンピタンス」が存在しているともいえる。
 なぜなら、売上が持続的するということは、顧客にとって何か満足を満たすものがあるからに
 他ならないから。
 その「強力なコンピタンス」が会社によっては、明確に認識しているとは限らず、「モヤモヤ」
 って感じになっている会社の方が多いと思う。
 それは、組織の学習から社内で生み出されたものである。
 
 「企業の将来の成功は、将来の強みにもとづくものである。しかしその将来の強みは、現在
 持っているその会社の独自性からしか生まれない。特に【強力なコンピタンス】はお金では
 買えないだけに、それを強化し、開発するには内側から改革以外に方法はない」と。


※会社の社長さんは、下記のことを考えてみると【経営ビジョン】が具現化されるのでは?

★当社の「強力なコンピタンス」は本当に当社独自のものかどうか?
★競合他社は同じようなコンピタンスを追求しているのか、違うものなのか?
★当社の「強力なコンピタンス」は、競合他社に簡単に真似される恐れはあるのか?
★もし、あるとしたら、当社としてはそれに具体的にどう対応するのか?

こうした質問に、明快に答えることができれば、それは正しく【競争優位】が生まれた
瞬間だと確信されてよいかと思います。
 
※6話は「なぜBCGのPPM分析とSWOT分析には威力があるのか?」について掲載します!
では、次回お楽しみに

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